あの頃は夢中だった
たまには自分が元気だった頃の話を書こうと思います(笑)
先日、PCデスクの下にあるディスクボックスの整理をしていたら、沢山の何だかわからないCDが出てきたので見てみました。(私はこういうところは無精で、ラベルをきちんと貼ったりしない)
すると、大昔にやっていたホームページ(ブログじゃなくてホームページです!)の片鱗が出てきて物凄く懐かしくなり、膨大なその量を片っ端から見まくりました。
今はブログが主流ですが、大昔に私がホームページを立ち上げていた頃は、まだブログやFacebookなんて便利なものは一般的に浸透していなくて、殆どの人がレンタルサーバーを無料で借りて、「ホームページビルダー」のようなソフトで一からホームぺ―ジを作成してアップロードしていました。
あちこちのサイトから無料の素材を借りてきて(これが見ているだけでも楽しい)、入口から全て自分で好きなようにデザインするのです。大変でしたがとても面白く、私は凝りだすと止まらないので「HTMLタグ辞典」なるものを購入したり、元プログラマーの同僚に判らないところを教えてもらったりして、タグについて勉強したりもしていました。(今でも良く判らないままですが…)
サイトの模様替えなんかに取り掛かると、2時間、3時間はあっという間です。
一時は、休日などは一日中家事そっちのけで自室に籠って集中してしまい、ダンナが不機嫌になるという事態によく陥っていました。
ブログはテンプレートが用意されていて(ある程度はカスタマイズできますが)、便利で始めやすいのですが、ホームページは真っ白のスペースを借りるところから始まって、入口のページ、メニューのページ、それから諸々のコンテンツにリンクを貼って…等々、作るには本当に個人のセンスが物を言いました。
ウェブ上には色んな方々の様々な部屋(サイトをよく『部屋』と呼んでた)があり、中には物凄く凝った素敵な造りの部屋もあったりして、本当にサイト巡りするだけでも楽しいものでした。
やはり知識の豊富な方の部屋はシンプルで見やすく、見ていても「重い」と感じさせないところにまで気を配って作ってあり、私など足元にも及ばないセンスの良さでした。
私は昔から文章を書くのが好きでしたので、そこに日記や自作の小説、ドラマや映画の感想なんかも上げていて(当時、テレビドラマや映画をよく観てた)、まったりと運営していました。
ブログで言う、「コメント」のようなものは、やはり無料の掲示板を借りてそこにリンクを貼り、それが読者とのコミュニケーションの場になってました。
そこに、たまに小説の感想なんぞを頂くととても嬉しく、励みになったのを覚えています。
今思うと、メルアド(フリーメールですが)まで公開してたんだから恐ろしいなと思います。(自分の個人的なアドレスまで公開してる人も多々だった)
そう言えばよく、辛辣なメールやウィルス付きのメールなんぞも送られてきたりしていました。
やがてホームページを通して色んな知り合いが出来て、イベントやオフ会などにも出かけて行くようになりました。
お互いの部屋にリンクを貼り合う(相互リンクと言った)などして仲良くなり、憧れのイラストサイトさんなんかから自分の部屋にリンクを貼ってもらうと、もう天にも昇る気持ちでした(笑)
私の部屋はおもに文章部屋なので地味でしたが、有名なイラストサイトさんなんかは読者もとても多く、カウンターの総計が見たこともない数字になっていました。
カウンターと言えば、「キリバン」というのがあって、そのサイトの管理人さんが決めた数字やゾロ目を踏むと、自分のリクエスト通りにイラストを描いてもらえ、それをプレゼントして頂けるのです。
そうして頂いたイラストを自分の部屋に「○○様からの頂きもの」として飾ったりしていました。
……すいません。ちょっと熱くなってしまいました(笑)
こういう話に全く興味のない方、ごめんなさいね。
ところで、先出の元プログラマーの同僚ですが。
ある日、私がこうしてホームページに没頭し、楽しそうにやっているのを見て、「自分もやってみようかな」と言い出しました。
「ネット上で友達を作りたいんだよね。」
私はもちろん喜び勧め、彼女はやがて素晴らしい部屋を作り上げました。
元プログラマーなので、ホームページを作るなんてお手のものです。
シンプルで落ち着いた色調の、とても可愛らしい部屋だったと記憶しています。
「私は絵も文章も書けないから、無料素材の部屋にしたよ。」とのことで、すぐに相互リンクをして私も何度か彼女の素材を借りたりしていたのです。
ところが最初のうちはそれで良かったのですが、だんだんふたりの関係がおかしくなって来ました。
「ネット上で友達を作りたい」と彼女が常々言っていたので、私はイベントやオフ会に彼女を誘うようになりました。彼女も喜んでいつも参加し、しだいに私のネットで知り合った昔からの友人たちも彼女と面識を持つようになりました。
ところが彼女の態度は次第にエスカレートし、いつもその場で主導権を握ろうとするのです。
それどころか、私の友人の作品をしたり顔で陰でひどくこき下ろしていたり、私抜きで私の友人たちと飲み会を企画していたりと(友人たちは私抜きなのを知らなかった)、だいぶ嫌な思いをするようになりました。
私は、職場などの現実…「オフの世界」と、ネット上の「オンの世界」をきっちり分けて生活したい方で、それを実践していたのですが、彼女はそれが出来ません。
会社の飲み会でも、平気で皆の居る前で「オンの世界」のことを話題にし、私を引き込もうとします。
周りが引いていてもお構いなしでした。
私はこうした彼女との軋轢で、何もかもが次第に嫌になり、ホームページをたたむに至りました。
決定的なその原因は、以前から感じていた彼女の私への「対抗意識」にありました。
出社すると毎日(席も隣だった)、「昨日カウンターすごく回ってたね。」とか、「掲示板に書き込みがあったね。」とか…そういうことを気にしていて、逐一チェックして報告してくるのです。
特にカウンターの回りについては彼女は酷く気にしていました。
「私のところはきのう○人くらい来てたけど、あなたのところは○人くらい来てたでしょ。」
私のサイトに置いていたのはごく普通のカウンターで、その日の来訪者の人数が出るものではなかったので、数を見て計算までしてる!…と、私は戦慄を覚えました。
「やっぱり素材サイトってあまり人来ないのかなあ…。」とぼやくのです。
私はもう辟易し、彼女の部屋へのリンクも外し、やがて部屋をたたみました。
彼女はその後、会社を辞めて故郷に帰ってそれきりです。
今どうしているかも知りません。
とても頭の回転が速く頼りになり、私と話もよく合う、一緒に居て楽しい人でした。
それが、ホームページを通して「オンの世界」を共有した途端、関係は崩れてしまったのです。
それがなければ、今も仲良く関係は続いていたと思います。
私はそれから、ツイッターもブログも、職場の人間には決して明かさないことにしています。
こういうことは何だか、きっちりと境界線を引かねば、私の場合はやっていけない気がしたのです。
──まあ、そんなこともありましたが。
あの頃は楽しく、充実した日々ではありました。
あの情熱と言うか集中力は、今の私には片鱗もありません。
また同じように、何かに没頭し、余計なことなど何も考えずに夢中になれるものが見つかれば、調子も良くなるのでは、と思うのです。
主治医にもそう言われていますが、今の私にはそれを探す気力さえありません。
ああいう私は、私の中のいったいどこで眠っているのでしょうか。
あの頃の自分をただ懐かしく、羨ましく思うばかりです。
とかく狭いところに入りたがるもも。
うさぎのしっぽって細長いんだよなあ。
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